アナタのその恋、回収します
「……物分かりは悪くない方みたいだな」

不敵な笑みを浮かべるボスを尻目に3人に向き直ると、
スーツ姿の青年が話しかけてきた。
「お前、青都大の学生なんだろ?」
「そうですけど……」
「俺んとこ来れば、退学しなくて済むと思うけどな」
スーツ姿の青年の言葉に、私は目を見開く。
「えっ!?」

大学を続けられるという魅力的な彼の発言に声を上げると、
すかさずヨレヨレ背広の男性が割り込んできた。
「ちょっと待ってよ御曹司クン、俺のオフィスラブごっこの夢をぶち壊さないでよ」
「はあ!?」
(今、この人何て言った!?ちょっと……大丈夫?)
呆れる私に構わず、
ヨレヨレ背広の男性は聞いてもいないのに勝手に口を開く。
「ハハッ、俺探偵やっててさ、助手の女のコが欲しいの。で、そのコと社内恋愛を楽しみたいんだよね〜」

(あ、あり得ない……)
顔面硬直の私の背後で、新藤さんが低い声で囁いた。
「安心しろ。商品に手を出す、つまり『キズモノにする』と、重大な契約違反と見なされ相応の報復を受ける。彼らも承知の上だ」
(つまり、無理やり手は出してこないってことか……)

「……」
ふと視線を感じ、
さっき私を憐れむような目で見ていたカジュアルな服装の男性の方を見ると、
がっつりと目が合ってしまった。
何も言わず黙って微笑む彼の顔に、
私は何だか見覚えがあるような気がする。
「あの……どこかでお会いしましたっけ?」
私が問いかけてみると、彼は微笑んだまま無言で首を横に振った。
(悪い人ではなさそうだけど、何だかミステリアスだなぁ……)

全然タイプの異なる3人の「借主候補」を前に、
私は大して回転の良くない頭を懸命に稼働させる。

「俺にしとけって」
と口火を切ったのはスーツ姿の青年。
「俺んとこにおいでよ、おイモちゃん」
それに対抗するように割り込んでくる、ヨレヨレ背広の男性。
「……」
2人の応酬には加わらずに、
相変わらず無言で私を憐れむニットベストのお兄さん。

ボスの刺さるような視線を感じつつ、
私は改めて3人のイケメンを順番に見つめた。
そして……
「わかりました!私は……」



アナタは誰に借りられますか?
 a,同い年の意地悪学生・鳥居坂洸汰(とりいざか こうた) 21歳
 b,声を失った画家・宮嶋碧(みやじま あおい) 26歳
 c,貧乏探偵・長谷亮輔(はせ りょうすけ) 30歳
 d,やっぱり選べない→「回収担当者・新藤恭一郎(しんどう きょういちろう) 28歳」ルートへ
 e,やっぱり選べない→「組織のボス・野崎浩(のざき ひろ) 33歳」ルートへ
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