恋してバックスクリーン
③
バレンタイン当日は、火曜日。定時で職場を後にすると、慌てて家に帰り、ごちそうを作る。大したものは作れないけれど、喜ぶ顔が見たいから。
あ。寿彦さんは、無表情やった。
キッチンで奮闘する私の耳に、鍵を開ける音が飛び込んできた。
「おかえりなさい」
笑顔で出迎えると、ぐっと引き寄せられる。耳元で「ただいま」と、低い小さな声が響いた。
「ごはん、作ってくる!」
このままずっとくっついていたいけれど、晩ごはんを作らないと! すぐに自分から離れた。
「いいにおい」
お腹をさすりながら、ボソッとつぶやくと、ドカッとソファに座って、ネクタイを緩めた。
その姿がなんだかセクシーに見えて、ドキドキさせられる……。
「帰ってきたら、手洗い! うがい!」
こんなにドキドキさせられたら、ごはんを作るどころではなくなってしまう! そう思い、寿彦さんを部屋から追い出した。
あ。寿彦さんは、無表情やった。
キッチンで奮闘する私の耳に、鍵を開ける音が飛び込んできた。
「おかえりなさい」
笑顔で出迎えると、ぐっと引き寄せられる。耳元で「ただいま」と、低い小さな声が響いた。
「ごはん、作ってくる!」
このままずっとくっついていたいけれど、晩ごはんを作らないと! すぐに自分から離れた。
「いいにおい」
お腹をさすりながら、ボソッとつぶやくと、ドカッとソファに座って、ネクタイを緩めた。
その姿がなんだかセクシーに見えて、ドキドキさせられる……。
「帰ってきたら、手洗い! うがい!」
こんなにドキドキさせられたら、ごはんを作るどころではなくなってしまう! そう思い、寿彦さんを部屋から追い出した。