恋してバックスクリーン
無愛想な男、溺愛疑惑
①
気になることを聞けないまま、悶々とした毎日が過ぎていった。寿彦さんは相変わらずなにを考えているのかわからない。表情に出さない。けれど、私のことは好きなのかな? 言葉に出さないけれど、ぎゅっと手をつないでくれたり、抱きしめてくれたり。嫌いな女性にはしないやんな? そんなこと。
ほんの少しの自信と、かなりの不安が背中合わせのまま、三月に入った。土曜日の朝、珍しく寿彦さんが寝坊をしている。
「寿彦さん、おはよう。もう九時やで」
ゆすり起こすとき身体に触れたら、なんだか熱い……。
「寿彦さん、体調悪いん?」
「んー」
慌ててベッドから起き上がると、体温計を持ち出して、寿彦さんの熱を計った。
「えっ、三十九度!? すぐ病院に行かな!」
「んー」
重い身体をベッドから起こすと、寿彦さんがモソモソと身支度を始めた。
「インフルエンザかも?」
「んー」
ただでさえ無口な寿彦さんが、さらに無口になった。さっきから「んー」しか言葉を放っていない。
「インフルエンザやったら、私にうつして? そしたらすぐに良くなるやろ?」
「んー」
「んー」しか言わない寿彦さんは、身支度を終えて、出かけていった。落ち着きなく私は、部屋をウロウロすることしかできなかった。
ほんの少しの自信と、かなりの不安が背中合わせのまま、三月に入った。土曜日の朝、珍しく寿彦さんが寝坊をしている。
「寿彦さん、おはよう。もう九時やで」
ゆすり起こすとき身体に触れたら、なんだか熱い……。
「寿彦さん、体調悪いん?」
「んー」
慌ててベッドから起き上がると、体温計を持ち出して、寿彦さんの熱を計った。
「えっ、三十九度!? すぐ病院に行かな!」
「んー」
重い身体をベッドから起こすと、寿彦さんがモソモソと身支度を始めた。
「インフルエンザかも?」
「んー」
ただでさえ無口な寿彦さんが、さらに無口になった。さっきから「んー」しか言葉を放っていない。
「インフルエンザやったら、私にうつして? そしたらすぐに良くなるやろ?」
「んー」
「んー」しか言わない寿彦さんは、身支度を終えて、出かけていった。落ち着きなく私は、部屋をウロウロすることしかできなかった。