恋してバックスクリーン
お昼近くになり、穂花から電話が入った。

『莉乃、身支度してうちに来て』

突然のことに、話が見えない。

『寿彦さん、インフルエンザだってね。完治するまでうちに泊まってくれたらいいから』

ひとり暮らしの穂花が、私を受け入れてくれるのはありがたい。でも、ね。なんで私より先に、寿彦さんがインフルエンザやって知っているの?

「穂花、なんで寿彦さんがインフルエンザって……」

『涼介くんのところに、関さんから連絡があって。関さん、莉乃にうつると大変だから……って』

「……そっか。ありがとう」

『関さん、ホント、優しい人だよね。自分のことより莉乃のこと、真っ先に考えて』

……そう言われたら、そうやけれど。なんだか腑に落ちない。

『早く用意して、うちにおいで? 関さん、帰ってきちゃうよ』

「わかった。ごめんね、お世話になります」

お礼を言うと、すぐに電話を切った。とりあえず、下着やら服やらを適当に鞄に詰め込んで部屋を飛び出した。



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