恋してバックスクリーン
今日は、食べるぞ! と、ジャンジャン焼かれるお肉と一緒に、大盛りのごはん。

「羽島さん、すごい食べるね。そんなに寿彦と会えたのがうれしいの?」

……逆です。こっそり浮気をしていた寿彦さんへの怒りや哀しみを、食べることで紛らわせているんです!

「太るよ?」

そんな私の隣で、寿彦さんがボソッとつぶやいた。

「食べやな、やってられん」

寿彦さんにしか聞こえない、小さな声で返答した。

「まぁ、抱き心地はよくなる……か」

「んっ!」

頬張ったごはんを、危うく喉につめそうになった。浮気をしているくせにそんなこと言うやなんて。寿彦さん、ずるい。

「ほどほどにしなよ」

なにそれ? 私にしか聞こえない声で、そんな優しく言われたら……。

泣いてしまいそう……。

「すごい煙やなぁ。目ぇ痛いわ」

涙目になりそうなところをごまかしながら、手で煙を払った。

< 23 / 74 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop