恋してバックスクリーン
無愛想な男、堂々と浮気!?

どこの誰だか知らない女性と、寿彦さんの部屋で鉢合わせた。けれど、真実は聞けないまま、日々が過ぎていった。寿彦さんは相変わらずの無表情で、無口だけれど、毎日のように私を抱きしめてくれて、甘い口づけをくれた。

海津さんの言う通り、私は溺愛されている? そう思いたいけれど、やっぱり自分に自信が持てなかった。もしかしたら、謎の美女が寿彦さんの本命で。私と同棲を始めたのは、ただ単に欲望を満たしたいだけ……とか?

今日こそは、今日こそは、寿彦さんの口から真実を話してもらおう。ひとりでいるときは、意気込むのだけれど。いざ、寿彦さんを前にして、抱きしめられたりすると。惚れた弱みか、すべてを許す自分がいた。

桜の頃も過ぎ、新緑が目にまぶしい季節がやってきた。今日は流星区の『流星まつり』。うちの会社は、新製品のサンプルを配ったり、割れたクッキーやビスケットなどのB級品を安く販売した。ブースは大盛況。予定より早く完売したおかげで、流星サンダーズVS青空スターズの野球を観戦できることになった。

この近辺は、プロアマ問わず野球が人気だった。区役所の草野球チームも商店街が盛り上げて応援しているおかげで、いつもたくさんの人が観戦に訪れた。

「流星サンダーズ、今日はエースが投げるよ」

海津さんの影響か、私より野球に詳しい穂花が、マウンドに立つピッチャーを指差した。



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