恋してバックスクリーン
③
モヤモヤしながら、帰ってきた。気をとりなおして、ケーキを食べることにした。
「カフェオレ、飲む?」
「うん」
スティックカフェオレが置いてある棚に手を伸ばす。ふと、真っ赤な包装紙に包まれた箱の存在を思い出した。
そうや。今、みつけたふりをして、誰からもらったのか、聞いてみよう……。チラリと寿彦さんに視線を送ると、さっそくテレビをつけ、野球中継を夢中で観ていた。
「寿彦さーん、これ、なに?」
真っ赤な包装紙に包まれた箱を、持つ手が微かに震える。でも、声は明るさを保っていた。
「えー?」
案の定、見向きもしない寿彦さん。
「真っ赤な包装紙に包まれた箱。お菓子か、なんか?」
胸の鼓動は加速するのに、声は平静を装っていた。
「ああ、食べるの、忘れていた」
なんのことだか気づいた寿彦さんが、そう返事をした。
「誰から、もらったんかな……とか、思ったり……」
「おー! 入った!」
つぶやくように聞いた私の声は、ホームランの歓声とともに、かき消された。
小さくため息をつくと、お湯をカフェオレボールに注いで、くるくるとかき混ぜた。この、モヤモヤした気持ちもかき混ぜてしまいたい気分だった。
「カフェオレ、飲む?」
「うん」
スティックカフェオレが置いてある棚に手を伸ばす。ふと、真っ赤な包装紙に包まれた箱の存在を思い出した。
そうや。今、みつけたふりをして、誰からもらったのか、聞いてみよう……。チラリと寿彦さんに視線を送ると、さっそくテレビをつけ、野球中継を夢中で観ていた。
「寿彦さーん、これ、なに?」
真っ赤な包装紙に包まれた箱を、持つ手が微かに震える。でも、声は明るさを保っていた。
「えー?」
案の定、見向きもしない寿彦さん。
「真っ赤な包装紙に包まれた箱。お菓子か、なんか?」
胸の鼓動は加速するのに、声は平静を装っていた。
「ああ、食べるの、忘れていた」
なんのことだか気づいた寿彦さんが、そう返事をした。
「誰から、もらったんかな……とか、思ったり……」
「おー! 入った!」
つぶやくように聞いた私の声は、ホームランの歓声とともに、かき消された。
小さくため息をつくと、お湯をカフェオレボールに注いで、くるくるとかき混ぜた。この、モヤモヤした気持ちもかき混ぜてしまいたい気分だった。