恋してバックスクリーン
無愛想な男、私を疑う

休み明け。週明けからドタバタと忙しい。仕事用の携帯電話に着信があり、もうランチタイムかと気がついた。

『もしもし、流星区役所の加茂です』

「加茂さん、お世話になります。先日は、ありがとうございました」

流星区役所の加茂さんからの電話に、新しい仕事が入った……と、小躍りした。

『今、どちらにいらっしゃいますか?』

ちょうど流星区役所近くの得意先をまわっていたところ。ナイスタイミング!

「たまたま区役所の近くに」

『それはよかった。では、十分後に区役所前で待ち合わせをしましょう』

「わかりました」

ちょっと強引だな、と思いながら電話をきった。でも、仕事だから仕方がない。急いで流星区役所に向かった。


流星区役所に到着すると、先に加茂さんが待っていた。

「こんにちは。お待たせしてすみません」

「いいえ。こちらがお声掛けしたので。お時間、大丈夫ですか? ゆっくり話がしたいのですが」

加茂さんが丁寧な口調で言った。ゆっくり話がしたい……と言うことは、間違いなく仕事の話だと確信する。

「……一時間くらいなら……」

腕時計を見ながら、次の予定を考えて返事をした。一時間あれば、ゆっくり話ができるはず。詳しい話は後日、ということで。

「ありがとうございます。では、商店街においしい店がありますので、ご案内します」

イベントなんかでうちの商品を使ってもらえるのかな……なんて思いながら、よろこんで加茂さんの後に続いた。




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