恋してバックスクリーン

一生懸命追いかけたけれど、寿彦さんをみつけることはできなかった。

こんなことになるなんて……最悪。とりあえず、家に帰るしかない。寿彦さんが帰ってきたら、ちゃんと事情を説明しよう。それから、浮気の真相も聞こう。

私たち、言葉が足りなすぎたんや。だから、浮気をされたり、疑われたり。

それにしても寿彦さん。なんで突然、私を疑いだしたのか。いつもなら、飲み会の帰りにわざわざ迎えになんてこないのに……。

ハッと、息を飲んだ。

まさか、加茂さんが? 加茂さんが寿彦さんになにかを吹きこんだか?

頭の中を整理してみる。寿彦さんが突然、私を疑いだしたのは……。加茂さんと一緒に食事をした、その夜で。寿彦さんが迎えに来たら、加茂さんと私が一緒にいた……。

そんな偶然、あるわけない! 加茂さんの罠に、ふたり揃って仲良くはまってしまった……というわけか!?

でも……加茂さんを疑うのは、良くないことで……。

どちらにしてもこれは、私と寿彦さんの問題。話し合えばきっと、分かり合えるはず。

そう自分にいい聞かせながら、家路を急いだ。

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