恋してバックスクリーン
穂花とふたりでの食事が、こんなにも息苦しいのは初めてだった。穂花にすべてを話せば、少しは気が楽になるのかな。でも、解決するのは、私と寿彦さんやから……。

「穂花」

「……ん?」

食べる手を止めた穂花が、私をまっすぐにみつめた。

「私、別に加茂さんとは……なにもないよ。でも、寿彦さんが誤解して」

「……莉乃と加茂さんが浮気をしている、と?」

「うん、たぶん……。誤解を解きたいのに、話ができへん」

そこまで言うと、泣きそうになって。ぎゅっと唇を噛み締めた。

「そうだったんだね。涼介くんに連絡をするから、仕事が終わったら、関さんを連れて帰って、ね?」

穂花の顔が、やっとほころんだ。癒やされる笑顔に、もう我慢がきかなかった。

「迷惑かけて、ごめん」

「これで、涙を拭くなり、鼻をかむなり、好きにして?」

ポロポロと、涙をこぼす私に、穂花はそっとハンカチを差し出した。なんだか照れ臭くなって、へへへと笑った。



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