恋してバックスクリーン
無愛想な男、本気を出す
①
そして迎えた、試合当日。朝から小雨が降り、グランドコンディションは悪かった。プレイボールの十三時前には雨があがったのが、幸いだった。
ジメジメとした空気を含んだ、生温い風が吹いた。私は、穂花と一緒にスタンドに座っていた。
今日も、寿彦さんは左手に包帯を巻いていた。何度聞いても、うまい具合にはぐらかされ、症状はよくわからなかった。
やっぱり、まだ痛いのかな? 痛くなかったら、包帯なんてしないはず。
ねんざか、最悪の場合は骨折? でも、骨折していたら、腫れあがって痛みも激しいみたいだし。
今も、涼しい顔でキャッチボールをしている。試合に影響がでないように、包帯を巻いているに違いない。悪いようには考えないことにした。
私はただ、寿彦さんを信じるしかなかったけれど、不安な気持ちに支配され、口数が減っていた。それを察してなのか、穂花も黙って私に合わせてくれていた。
ありがとう。小さく心でつぶやいて、プレイボールがかかったグラウンドを黙ったままみつめていた。
ジメジメとした空気を含んだ、生温い風が吹いた。私は、穂花と一緒にスタンドに座っていた。
今日も、寿彦さんは左手に包帯を巻いていた。何度聞いても、うまい具合にはぐらかされ、症状はよくわからなかった。
やっぱり、まだ痛いのかな? 痛くなかったら、包帯なんてしないはず。
ねんざか、最悪の場合は骨折? でも、骨折していたら、腫れあがって痛みも激しいみたいだし。
今も、涼しい顔でキャッチボールをしている。試合に影響がでないように、包帯を巻いているに違いない。悪いようには考えないことにした。
私はただ、寿彦さんを信じるしかなかったけれど、不安な気持ちに支配され、口数が減っていた。それを察してなのか、穂花も黙って私に合わせてくれていた。
ありがとう。小さく心でつぶやいて、プレイボールがかかったグラウンドを黙ったままみつめていた。