恋してバックスクリーン
③
「行こう?」
穂花が笑顔で私の手をひいた。寿彦さんを抱きしめてあげたいという気持ちに気づかれたような気がして、頬が熱くなった。
ふたりで球場の外に出た。六月の湿気を含んだ風が、身体にまとわりつく。ほんの少し見えていた青空は、雲に覆われてまた姿が見えなくなった。
しばらくすると選手たちが戻ってきた。寿彦さんをみつけた穂花が、私の背中を押すと、笑顔で手を振った。
「ありがとう」
小さくつぶやくと、寿彦さんのそばに駆け寄った。
「お疲れ様」
いつもの笑顔で……。そう思えば、思うほど、笑顔が崩れていく……。
「なに不細工な顔、してんの?」
寿彦さんらしい、ぶっきらぼうな言い方。それがやけに私を安心させて、よけいに不細工な顔になっていく……。
「ごめん、勝てなかった」
ううん、いいよ。一生懸命練習して、がんばったから……。いい試合だったよ、と言ってあげたいのに、言葉にできない。
ただただ首を横に振ることしかできなかった。
穂花が笑顔で私の手をひいた。寿彦さんを抱きしめてあげたいという気持ちに気づかれたような気がして、頬が熱くなった。
ふたりで球場の外に出た。六月の湿気を含んだ風が、身体にまとわりつく。ほんの少し見えていた青空は、雲に覆われてまた姿が見えなくなった。
しばらくすると選手たちが戻ってきた。寿彦さんをみつけた穂花が、私の背中を押すと、笑顔で手を振った。
「ありがとう」
小さくつぶやくと、寿彦さんのそばに駆け寄った。
「お疲れ様」
いつもの笑顔で……。そう思えば、思うほど、笑顔が崩れていく……。
「なに不細工な顔、してんの?」
寿彦さんらしい、ぶっきらぼうな言い方。それがやけに私を安心させて、よけいに不細工な顔になっていく……。
「ごめん、勝てなかった」
ううん、いいよ。一生懸命練習して、がんばったから……。いい試合だったよ、と言ってあげたいのに、言葉にできない。
ただただ首を横に振ることしかできなかった。