恋してバックスクリーン
②
土日祝は、朝九時に開店するバッティングセンターのドアを、勢いよく開けて寿彦さんを探した。
「おはよう」
先に私の姿をみつけた寿彦さんが、相変わらずの無表情で挨拶をした。
「……よかった」
息を切らし、ため息のような声をもらすと、その場にしゃがみ込んだ。
「なにが?」
『浮気、しているのかと思った』
そう言いかけて、言葉を飲み込む。しゃがんだまま見上げると、大きな影は眉をひそめて私を見ていた。
寿彦さんが浮気なんて。できるはずないやん!? そもそも、そんな物好き、いるわけない!
「へへへ」
そう思うと、なんだかおかしくなって、笑った。
「気持ち悪い」
大きな手が、私をグイッと引き上げた。立ち上がり、ベンチに座ると、寿彦さんが缶コーヒーを買ってきてくれた。
「変な夢でも、見た?」
「ん、うん。まぁ、そんなところ」
手渡された缶コーヒーは、ほんのりと温かい。小さく「いただきます」を言ってひと口飲むと、心まで温められるようだった。
そんな私を横目に、寿彦さんはバッターボックスに入っていった。
「ふふん」
浮気なんて、なにかの間違い。鼻で笑うと、また缶コーヒーを口にした。
「おはよう」
先に私の姿をみつけた寿彦さんが、相変わらずの無表情で挨拶をした。
「……よかった」
息を切らし、ため息のような声をもらすと、その場にしゃがみ込んだ。
「なにが?」
『浮気、しているのかと思った』
そう言いかけて、言葉を飲み込む。しゃがんだまま見上げると、大きな影は眉をひそめて私を見ていた。
寿彦さんが浮気なんて。できるはずないやん!? そもそも、そんな物好き、いるわけない!
「へへへ」
そう思うと、なんだかおかしくなって、笑った。
「気持ち悪い」
大きな手が、私をグイッと引き上げた。立ち上がり、ベンチに座ると、寿彦さんが缶コーヒーを買ってきてくれた。
「変な夢でも、見た?」
「ん、うん。まぁ、そんなところ」
手渡された缶コーヒーは、ほんのりと温かい。小さく「いただきます」を言ってひと口飲むと、心まで温められるようだった。
そんな私を横目に、寿彦さんはバッターボックスに入っていった。
「ふふん」
浮気なんて、なにかの間違い。鼻で笑うと、また缶コーヒーを口にした。