私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「このまま……時間が止まればいいのに…」
そしたら、ずっと傍にいられる。
一護が、眠ったままでも、ただ傍にいられればいい。
だけど……時を止めるなんて、神様くらいにしか出来ないから…。
「これ以上優しくしないでね、一護……。離れられなくなるから…」
いつか来る別れから何度も目をそらして、だけど頭の隅にはいつでもある。
眠っている一護の頬に手を伸ばす。
「触れるのは、最後にする……」
このままじゃいけないって分かってるから、どこかで踏ん切りをつけなきゃとは思ってた。
「それが、今だっただけ……」
この時間は、最後の贈り物だ。
きっと、一生この体温を、石鹸の匂いを、腕の強さを……瞬間を忘れはしないんだろう。
それが、痛みに変わって私を苦しめても…。
ちゃんと、笑うから……。
だから、今だけは……。