私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


***


今日は、温泉街を皆で回る。
浴衣レンタルで、みんなで浴衣を着る事になった。


「紗枝は、向日葵にしたの?」

「うん、紺地に向日葵って、生えるよね!」

「うん、紗枝に似合ってる!」


男子たちとは別の部屋で着替える私達は、着替えた浴衣を見せ合う。


「椿の白地にアサガオの浴衣はバッチリだったね。なんか、ますます大人っぽい!!」

「あんまり、白とかきたことなかったんだけどな」

「絶対似合うと思ったもん!」


そう、私の浴衣は紗枝が選んでくれた。
私よりもお洒落だし、昔からセンスがあった。


それに、この朝顔は……。


「紗枝が、私にくれたキーホルダーと同じ花だね」

「あ……そうだよ、椿はずっと持っててくれてるよね」


小学校3年生の時から大事にしているキーホルダー。
今は、身近に持っていたいから、ケータイにつけてる。


「そういう紗枝だって、持ってるでしょ」


紗枝の持つケータイにキーホルダーがつけてある。
花が好きな紗枝がくれた、私の宝物。




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