私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
Chapter 3*最後の真実*
それぞれの進む道
***
夏休みが終わり、やってきた新学期。
9月初旬、秋の風が寂しさを誘う季節がやってきた。
「椿ちゃん、席替えだって」
「そうなんだ……。尚くんとはあんまり一緒にいられなかったね」
唐突にクラス委員から告げられた席替え。
今までは、一護と100%の確率で隣の席になってたけど、今回はどうかな…。
「ねぇ、椿」
「紗枝、どうしたの?」
後ろの席を振り返ると、浮かない顔をした紗枝がいた。
そういえば、皆で旅行した帰り、紗枝は一護に会ってるはずなのに、特に報告もない。
なんにも、無かったのかな……。
一護とは、バイト先でも、学校にいる今も、何か言いたげな視線が向けられるけれど、気づかないふりをした。
「その……椿と一護くん、また隣の席になるんじゃない?」
「………そ、それなら紗枝と変わるし」
試すような言い方に、少しびっくりした。
紗枝の口から一護の名前を聞くと、怖くなる。
今まで重ねた嘘がバレてしまわないか……。