私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「……どうして、椿は……」
「え?」
紗枝はまるで泣きそうな顔で何かを言いかける。
それに目を見張って、私は何も言えなくなった。
紗枝、本当にどうしたの……?
紗枝の考えてること、全然分からない…。
「紗枝どうし…」
「はい、クジ引いてくださーい」
私の言葉は、クラス委員の女の子に遮られる。
差し出された袋の中には、プリントの切れ端がいくつも折りたたんで入っていた。
なんとなく、深く聞き返すのが怖くなり、私はクジをひく。それに続いて、紗枝もクジをひいた。
「一護くん、なんだった??」
「俺は……あ、席変わんねーや」
……一護は、今の席なんだ。
なら、私は………。
手元の紙を見ると、15番の文字。
黒板に書かれた座席の数字と照らし合わせると…。
「あ……」
初めての事だった。
私の席は、一護とは正反対、廊下側の前の席。
これは、もう私と一護の繋がりがなくなったって事かな…。