私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「私が隠してきたもの…全部、バレてしまいました…」

「……それは、一護くんが好きってことを?」

「はい……親友には気づかれてたみたいで、それでも隠し続けようと嘘をついたら……大嫌いだと、言われてしまいました…っ」


思い出すのは、紗枝の心から傷ついた顔。
私がついた嘘の、重ねた偽りの罪深さを、思い知った。


「そう……」

「一護には、やけになって好きだったことをぶちまけちゃって……。いっそ、関わりがなかったみたいに、離れちゃえばいいって言ったら……怒らせてしまって…っ」


我慢できたのはそこまでだった。
ブワッと堰を切ったかのように溢れてくる涙と嗚咽。


そんな私の背中を、瑞希先輩が撫でてくれた。


「………大切なんだな、3人とも」

「え……?」


私の話を静かに聞いてくれた瑞希先輩が、ポツリと切り出す。その言葉に、私は頷いた。



< 190 / 211 >

この作品をシェア

pagetop