私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「……瑞希先輩、今まで沢山助けてもらって、本当にありがとうございました」
「うん……」
私は、ベンチに座る瑞希先輩に頭を下げる。
「好きだと言ってくれたこと、本当に嬉しかった。こんな私でも、想ってくれる人がいるんだって…思って…っ」
泣いたらダメだよ……。
私は、ちゃんと瑞希先輩に気持ちを伝えなきゃいけないのに…。
「椿ちゃんは、誰にも愛される魅力があるよ」
なのに、ポタポタと流れる涙。
それは、瑞希先輩がどこまでも優しいからだろう。
「でも……でも、私には一護でなきゃ、ダメなんです」
「うん、知ってる…。椿ちゃんがどれほど一護くんを好きなのか、傍にいたから、きっと誰よりも…」
気持ちを貰えないのに、傍にいる辛さ。
それは、私が一番知ってるから……。
そして、そんな時に欲していたのは、前に進むための、きっかけ。