私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
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翌日、一護と紗枝に想いを伝えると決めて登校した朝。
私は席が遠い事に絶望した。
そんな日に限って夜色々考えていたせいで眠れず、朝方ようやく寝れたと思ったら寝坊。
教室で、紗枝や一護の席まで行くことも出来ずにチャイムが鳴ってしまったのだ。
「ここには、Aの公式を代入して……」
「はぁ……」
一限目、数学の加賀谷(かがや)先生が、黒板に式をつらつら書いていく。
黒板が白いチョークで汚れていく様を見つめながら、私は深い深いため息をついた。
この授業が終わったら、すぐに声をかけよう。
でも、10分休みしかないし、話する時間なんて……。
そんな事を考えていると、トントンと背中を軽く叩かれる。
振り返ると、尚くんが私に軽く手を上げた。