私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「頑張れ、椿ちゃん」

謎の言葉を残して、ノートの切れ端を手渡す尚くん。
それを受け取って開くと、そこには……。


〈放課後、屋上で話そう〉

〈紗枝より〉


それは、紗枝からの手紙だった。

それをどうして尚くんが持っているのかは分からないけど、これはチャンスだ。


紗枝に、私の気持ちを伝えよう。

昔、誰も信じなかった私の事を、最後まで信じてくれた紗枝に、この想いを。


私は、怖い気持ちを消し去るように、しゃんと前を向いたのだった。



< 196 / 211 >

この作品をシェア

pagetop