私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「頑張れ、椿ちゃん」
謎の言葉を残して、ノートの切れ端を手渡す尚くん。
それを受け取って開くと、そこには……。
〈放課後、屋上で話そう〉
〈紗枝より〉
それは、紗枝からの手紙だった。
それをどうして尚くんが持っているのかは分からないけど、これはチャンスだ。
紗枝に、私の気持ちを伝えよう。
昔、誰も信じなかった私の事を、最後まで信じてくれた紗枝に、この想いを。
私は、怖い気持ちを消し去るように、しゃんと前を向いたのだった。