私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
***
放課後、階段を上って、屋上へと向かう。
紗枝と、どんな顔して会おう。
「き、昨日はごめんね……って、なんか軽い」
なら、なんて言ったら真剣さが、伝わるんだろう。
「傷つけてごめんなさい……だと、暗すぎかな…」
私は、シュミレーションをたくさんして、屋上の扉の前にたどり着く。
そして、少しだけ開いた扉から、恐る恐る屋上をのぞくと…。
「え、どうして……」
そこには、待ち合わせた人とは違う相手がいた。
驚いて、立ち尽くしていると、後ろから階段を上がってくる足音が聞こえて振り向く。
「……椿、来て…くれたんだね」
数段下、私を見上げる紗枝が、そこにはいた。
私は、体ごと向きを変えて、紗枝を見つめる。
「紗枝、どうして……」
「椿、私の質問に、答えて欲しい」
紗枝が私から聞きたい質問の答え。
それは、すでにされた質問で、嘘で誤魔化してしまった返事だった。