私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


「やっと、言ってくれたねっ」

「あっ……」


紗枝が、ギュッと抱きついてくる。
それを抱きしめ返すと、肩に紗枝の涙が落ちてきて、濡れた。


「大好きな親友、今度は私が背中を押す番だよ!!」

「紗枝、なんでっ……だって、紗枝も…」


紗枝も、一護が好きなのにっ。

だけど、紗枝の顔に迷いはなかった。
振り切れたような顔で、微笑んでいる。


「私は、もう一護くんに振られてるの」

「え……?」

「旅行で、雨が振った日、椿に背中を押されて一護くんの所へ行って告白したんだ」


知らなかった……紗枝が、一護に告白してたなんて…。


「でも、一護くんには…本当に好きな人がいた」

「違う、それは紗枝で……っ」

「椿、もう逃げたらダメだよ、ちゃんと伝えて、その想い」


紗枝はそう言って私を開放すると、トンッと背中を押した。
それに、一歩前に出る。


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