私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「藍生先輩、コイツなんか口説いたってなんの得もないっすよ?むしろ口説くような物好きいねーし、嬉しいんじゃね?」
「っ…」
なんで、そんな事言うの……。
私は……一護が……っ。
ううん、そんな事、思っちゃダメだ。
嫌われた方がいい、嫌われるように仕向けたのは私じゃん。
だから、一護に冷たくされるのは、当たり前のこと。
傷つくなんて……自分勝手だよね。
「お前ら、相変わらず仲悪いなぁ?」
「仲良くしなさいね、バイト仲間なんだから」
藍生先輩と店長の苦笑いがこちらに向けられる。
仲良く出来るなら、とっくにしてる。
それが、出来ないからこんなにこじれてるのに……。
「私、向こうのテーブル拭いて来ます」
私はふきんを手に、その場を離れた。
あれ以上一護の傍にいたら、泣いてしまいそうだったから。