私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「一護や、紗枝に嘘つくたび、自分が汚くなっていくみたいで、どんどん傍にいるのが辛くなってた…」
「俺は……傷ついてる椿に、何もしてやれない事が辛かった」
「一護は……してくれたよ」
私は、一護に沢山助けられた。
どんなに突き放しても、傍で、温もりをくれた。
「俺は、何もしてねぇ……」
「突き放しても、声をかけてくれて、泣いてた夜には、何度も私の髪を撫でて、涙を拭ってくれた」
「あれは……それしか、出来なかったからだ。気の利いた言葉の一つも出てこなくて、今まで椿の何を見てきたんだろうって、自分を殴りたかったくらいだ」
そんな………それ以上なんて、何があるっていうんだろう。
数え切れないほどの無償の優しさを、一護はくれた。
「離れてた方がいいなんて、嘘。何度離れようとしても、忘れようとしても、無理だったんだから」
時が経てば忘れるだなんて、私には絶対に無理だった。
だって、まぶたを閉じればキミの姿が浮かんで、風の音を聞けば一護の声と聞き間違えほどに、キミが、消えない。