私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「お前の嘘も、素直な気持ちも……俺が受け止めてやるよ」
「え……?」
「だから……もう、俺に隠すな。我慢しなくていい、沢山泣いて笑えよ、椿」
「っ………優しすぎだよ、一護……っ」
優し過ぎるこの人が、私の大好きな人。
やっと想いが通じた……。
想い、想われることがこんなに幸せなんだって、知らなかった。
色褪せていた世界が、鮮やかな彩りを取り戻すように、奇跡のような、そんな感覚。
「今まで離れてたぶん、大事にする。好きだ、椿…」
涙を、唇で掬われた。
それに目をしばたたせると、一護が小さく笑う。
「あ……」
その笑顔が、あの桜の舞う春、君と出会った日、一目惚れした笑顔に重なって目を細めた。
「椿、どうかしたか?」
そんな私の顔をのぞき込む一護に、私は心から笑う。
「私……一目惚れしたの、その笑顔に」
「っ!!」
一護が、頬を赤く染めて私を信じられないと言わんばかりの顔で凝視してくる。