私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「キラキラしてるの…私の好きな、一護の笑顔…」
今度は私が一護の頬に手を伸ばして、その輪郭を確かめるように撫でる。
そう、春の嵐のように……私の心を奪い去った笑顔。
でも、今は……。
「今は、一護の全てが好き……」
意地っ張りなところも、照れると髪を触るくせも、恋に奥手な所も……全部。
「っ……椿の事だって、俺は丸ごと好きだけどな」
「なんで張り合うの、バカ一護」
「うるせー、黙っとけ」
そう言って、奪うように重ねられる唇。
私の嘘つきな唇を……優しく、傷を癒すように、包み込むキス。
それに、私はやっとこの恋を失わなくて良かったと、心から思った。
何度も知らない方がいいと思った。
だけど……もう一護が好きな気持ちを、否定したりしない。
私の背中を押してくれた親友のためにも、ちゃんと目の前のキミを大切にする。