私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「おい、これどうすんだよ!!」
一護の叫びも無視して、私は雨の中を走る。
どうせ、家近いのに、一緒に帰ろうって言っても断られるんだ。だからと言って、一護の事はほっとけない。
………なら雨の中、1人で帰るしかないじゃない。
遠い……遠いの、何もかもが。
私と一護が仲良くなったのは、紗枝よりも先。
一護の家との距離が近いのも私。
一護を先に好きになったのも私。
「なのにっ……」
雨に溶けるように、涙が流れる。
私達は、こんなにも遠いっ……。
その現実に、私はただひたすらに走って、泣いたのだった。