私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「え…?」
「ま、待てって!!」
一護の声が聞こえた時には、すでに私の体が後ろへと倒れていた。そして、ポスンッと一護の胸におさまる。
「ちょっ……」
ドキドキと、心臓が早鐘を打つ。
や、やめて、静まって!!
うるさいくらいに鳴って、そのまま一護に聞こえてしまいそうだった。焦って、頭が真っ白になった。
「なっ……こんくらいで倒れるなよ!!」
一護も予想外だったのか、慌てて私の体を支える。
う、わっ……。
一護にこうやって触られるの、いつぶりだろう。
前は、よくバシッと肩を叩いたり、スキンシップがあった気がする。
だけど、いつの間にかお互い視線すら合わせなくなってたし…。
何だか少しだけ、涙が滲んだ。
好きな人に触れられる、それがどんなに幸せなことか、思い知らされた。