私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


2人とも、いい迷惑だよね。
私がいるから……私さえいなければ。


だって、私が2人に両想いだって言えば、済む話だ。
なのに、私はズルい……それを秘密にして、卑怯だよね。


また……自分の嫌なところばかりが見える。


「デキっ……ふざけんな、あんなヤツ、絶対ありえねーっての!!」

「っ………」


ズギンッ、ズギンッと痛みが襲ってくる。

何で、こんな苦しい思いをしなきゃならないの。
もう、嫌だよ……っ。

目に涙が浮かびそうになって、俯いた。


「だよな、お前等、仲悪いし!!」

「水と油だよな、マジで!!」


私だって…本当は一護と……普通に話したい。

だけど、それは許されないことでしょ?

笑いが沸くクラスに、私だけが場違いな感情を抱いてる。


「だろ、俺達は……っ」


そして、一護が私を見た。
教室で視線がぶつかる。

私は、フイッと反らして、口から嘘をついた。


「大嫌いだし、一護なんてっ」


自分の心を抑えて、私はそう言った。

一護だって、この答え方を望んでいたはず。
本当の気持ちなんて、迷惑だろうから…。


強がりの笑みを浮かべて、好きな人に心底嫌だという偽りの仮面を被る。


「………あっそ、俺だってお前なんか嫌いだっつーの」


私達は、見つめ合い、言葉を交わすのに、こんなにも遠いね。

ーーー嫌い、嫌い、嫌い。
何度口にすれば、本当になるんだろう。


早く……時間が過ぎたらいい。

そして、卒業して、もう二度と顔を合わせなければ……キミを忘れられるのかな。




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