私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「ごめん……、八つ当たりだって、分かってるよ……」
でも、止められない。
どうしようもない、この想いは……。
きっと、私の一言一言は、一護を傷つけてる。
そして不快にしてる。
どんどん開いていく距離、なのに時々こうして私に歩み寄ろうとする。
本当は優しくて、そんな一護が私は……。
ゆっくりと天井を仰ぐと、また目尻から涙が零れて、頬を伝い、落ちていった。
その行き先も確認せずに、吐息と間違うほど小さい声で呟く。
「大好きなんだ……」
誰もいない教室で、届くことのない告白をする。
それは、教室の、埃が舞う空虚な空気に溶けて、その余韻すら残さずに、静かに消えていった。