私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
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体育の時間、私達女子はバレーボールで、隣の男子達はバスケットボールをしていた。
私たちのクラスが試合を終えると、紗枝と一緒に隣のバスケの試合を見学する。
ーダンッ、ダンッ!!
ボールが早いリズムで地面にバウンドする音。
すぐ目の前をドリブルで駆けていく、見慣れた茶髪。
「ふっ!!」
そこには、いつの間にたどり着いたのか、バスケットゴールに向かって飛ぶ一護がいた。
私の好きな日に焼けた無造作の茶髪が、風に揺れる。
ーパシュッ!
ゴールの中に吸い込まれるように、ボールが入った。
「よっしゃ、決まった!!」
見事にシュートを決めた一護。
そんな一護に、クラスメイトが一斉に集まる。
「オオーッ!!」
「お前すげーな!!やっぱ、帰宅部やめてバスケ部来いよ!!」
女子達からも湧き上がる拍手や歓声。
それは、私の隣に入る紗枝も例外ではなく、「すごかったね、カッコイイね、椿っ」と紗枝が興奮していた。