私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
***
「ねぇってば、椿!!」
「えっ…あ、何、紗枝??」
ボーッと男子のバスケを見ていると、紗枝が頬をふくらませて私を見た。
「最近の椿、ずっと考え事してるよね。どうしたの、何かあった??」
心配そうに私の顔をのぞき込む。
………どう相談したらいいの。
好きな人が忘れられなくて辛いって?
紗枝の、好きな人なのに……。
「………今日バイトだなーって、考えてただけだよ」
迷った挙句、ついたのは当たり障りのない嘘。
私、いつまでこんな嘘を続けなきゃいけないんだろう…。
私は……私の気持ちはどこにあるんだろう。
嫌われたいと思うのに、傍にいたいとも思う。
忘れたいと思うのに、いつでも一護のことを考えてる。
もう、何がしたいのか、自分でも分からない。
「椿ちゃん、次私たち出番だよー!」
考え込んでいると、クラスメートに声をかけられる。
次はうちのクラスが試合に出る番みたいだ。