私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「一護……それは私のセリフなんだけど?」
そう、私、宮野 椿(みやの つばき)の天敵、滝川 一護(たきがわ いちご)。
高校1年生の時からの腐れ縁で、3年間同じクラス、隣の席という事故。
「あーあ、朝から椿の顔見なきゃなんねーとか、最悪だわ」
「こっちも、1日のテンションダダ下がりなんですけど!」
悪態を付きながら上履きを履き替える私達。
一護……いつもなら、ワックスで無造作に固められたチャラい髪型が、今日は湿気で髪がペタンコになってる。
ボーッと、それを見つめていると、不意に一護が私の方を見て、「…んだよ」とウザったそうに睨んだ。
ーーズキンッと、胸が痛む。
「別に」
それだけ言って、私は一護に背を向けた。
そのまま、先に教室へと歩き出す。