私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「どんな気持ちでいたかも知らないでっ」
気づいてよ……私だけを見てっ。
紗枝だけじゃなくて、私とも…向き合って…。
「…………」
「勝手だよね、一護は…。私の事、知ったつもりで、何にも知らない、気づかない…」
本当は、ただ私を見て欲しかった……。
一護は私を優しいって言うけど、違う。
親友がいながら、素直にそれを応援出来ずに、こうして自分の事も気にして欲しいなんて言う。
心が汚れていく、白だった部分が思い出せないほどに黒く…。
「それって、どういう意味だよ……」
「私の考えてる事、何一つわからないくせに、知ったようなこと言わないで!!」
言葉にしてる事だけが全てじゃない。
つくろう言葉の裏に、どれだけの痛みを抱えているのか、きっと誰にも分からない。