私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「もう、やだよ………」
また……私は一護に八つ当たりしてる。
だけど、どうしても止められない……感情をぶつけてしまう。
こんなことしたくないのに、止まらない。
だからせめてと、強く唇を噛むと、血の味がした。
泣きそうになって、堪える。
……………もう、嫌だった。
本当は自分の弱さのせいなのに、一護のせいにしようとする私も、八つ当たりしてしまう私も……。
「椿……俺だって、もう嫌なんだよ……こんなの…」
「だったら、お願いだから……っ、急に優しくしたりしないでっ…私に希望を持たせないで…」
ギュッと手の内側が白くなるほど、カバンの取手を握り締めて、ズリッと後ずさる。
期待する度に、叶わない痛みに泣くのはもう嫌なの…。
「優しくするなって……なん…」
「……やっぱり、1人で帰るね」
これ以上はまずい。
何でもかんでも話してしまいそうで、怖くなって、一護の話を遮った。