私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
キミと放課後に教室で
***
梅雨が明けた、6月下旬。
教室の窓から見える嘘みたいに晴れた青空を、頬杖をつきながら眺める。
もう夏休み間近、明後日には始業式だ。
一護とはここ3日ほど会話をしていない。
理由は……。
「次の数学の先生、小テストするらしいよ」
「へぇ、紗枝俺にちゃんと教えろよ?」
「ふふっ、もちろん!」
私の後ろの席で、紗枝と一護が楽しそうに話をしている。私は、紗枝と席を換わって、紗枝の前の席になったからだ。
全ては、自分の気持ちに整理をつけるため…。
物理的な距離が遠くなれば、いつかは消えてくれる、そう思った。
「そうだよ、これで良かったんだ……」
ギュッと、机の上に置いた拳を握りしめる。
離れて、関わらない方が、きっと考えずに済む。
それに、その方が踏ん切りがつくかもしれないから…。