私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。

｢あの時、ちゃんと言ってあげられなくてごめんね｣

泣くな私、ちゃんと笑って。

お願い、前みたいに笑って？
一護が望む、昔の私に戻るから。


｢椿……？｣

｢………応援する、一護の事｣

｢っ……何で、今なんだよ……｣

｢ごめん、気持ちに整理をつけるのに、どうしても時間が必要だったの。でも、今なら言えるから…｣


そう、言うんだ。
もうこれで、一護は私の好きな人ではなく……。


｢友達として、一護の傍にいる｣

｢………友達……｣

｢仕方ないから、相談にも乗ってあげる｣


冗談っぽく笑ってみせると、一護は驚いたように私の顔をまじまじと見つめた。


｢だから……｣


だからね、もう苦しまないで。
今までごめんなさい、でも、ありがとう。


｢だから、一護はもう傷つかなくていいんだよ｣

｢………っ、椿、俺は…傷ついてなんてねぇよ。ただ、お前の事を考えると、苦しいだけだ｣


そんな一護の頬に、私は慰めようと手を伸ばす。

一護は戸惑いながら、私が頬に触れる前に、その手をぎこちなく握りかえした。