私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「もう、冷たくなんてしないから…ちゃんと、昔の私に戻るから、大丈夫だよ」
心なら、いくらでも騙す。
どんなに忘れられなくても、この痛みは私だけで十分だ。
「また、笑ってくれるのか?あの頃みたいに…」
「うん」
頷くと、一護の顔が緩む。
そして、小さく笑みを浮かべて繋いだ手を強く握り返された。
あぁ……。
そっか、私この笑顔を向けて欲しくて、ずっと寂しかったんだ。
好きって気持ちが、一護の特別になりたいって、私を欲張りにして、今までの関係すら壊してしまった。
こうして、笑いかけてくれて、普通に言葉を交わせる。
それが、こんなに嬉しい。
なら、これ以上を望んだらだめだよね。
大好きな人たちのためにも、迷うのは止めよう。
「俺さ……ずっと、椿に笑ってほしかったんだと思う」
「……これからは、ちゃんと笑うから」
心は泣いているのに、笑みを浮かべる。
さよなら、私の恋心。
キミが好きでした、これからはちゃんと友達に戻るから…。
キミが苦しまないで、笑ってくれますように。
今日、私は……。
迷う心さえ殺すように、嘘をつらぬく決意をした。