私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「じゃあ、今日1日、よろしくお願いします」
「ハハッ、何だよ、それ」
軽く頭を下げると、一護が笑い出す。
だって、久々なんだもん、こういうの。
恥ずかしくてそっぽを向くと、
「俺の方こそ、よろしく」
「え、あ、うん……」
「ほら、いこーぜ」
笑いながら歩き出す一護の後ろを慌ててついていく。
なんとなく……一護がすごくウキウキしているように見えるのは、私の欲目かな。
そんなことを考えながら、私たちは駅へと向かった。
ショッピングモールについて、映画館にたどり着くと、時間もぴったりで、さっそく映画を見る。
「おー、hiroやっぱかっけーな」
「うん、本当に!」
小声で興奮する私達。
最初はhiroばかりを目で追っていた私だけど、いつの間にか話にのまれていく。
ラスト、ヒロインを庇って車に引かれるhiroに、涙腺が崩壊した。
「うっ……ぐすっ……」
もう、この映画悲しすぎる!!
ズッと鼻をすすると、手すり置いていた手が、温かくなる。
え……?
自分の手を見ると、一護が、私の言葉に手を握っていた。
そして、私を見ると、「大丈夫か?」と心配そうな顔で私を見つめてくる。