私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「ご、ごめんね……悲しくなっちゃって」
「椿、涙脆いんだな」
「結構…ね」
涙を拭いながら、小さく笑う。
昔からそうだった、本とか映画とか、感情移入しやすくて…。
「こーしててやるから、泣いてれば?」
「あっ……」
一護が、繋いだ手に力を込める。
それに、今までの悲しい気持ちが嘘みたいに、ドキドキに変わる。
「あ、ありがとう……」
それよりも、私の心臓がおかしい。
涙なんて引っ込んじゃった……。
一護の一言一言、仕草の一つ一つになんでこんなにも、心が乱れるんだろう。
私は…友達、一護の友達なんだから……。
前を向いた一護の横顔をこっそり盗み見る。
胸の高鳴りを隠すように、胸を両手で押さえるのだった。