私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「椿、マジでスポーツやってなかったのかよ?」
「うん、体育でやっただけ。一護こそ、バスケ経験者じゃないの?」
「俺だって、授業でだけ」
一護、やっぱ運動神経いいよね。
授業だけで、あそこまで動ける人なかなかいないけど。
私は、体育の授業の事を思い出していた。
「あの時、授業でシュート決めた一護、すごかった」
「え、マジ?」
驚いている一護に、私はハッとする。
やだ、私何口走って………。
自分が言ったことに気づいて、カァーッと、恥ずかしくなった。
「それで、俺のバスケ、どうだったよ?」
黙り込んでいると、一護がウズウズしたように身を乗り出して聞いてくる。
「あ、えーとね、すごく……」
そこには、バスケットゴールに向かって飛ぶ一護の姿。
私の好きな癖のある茶髪が、風に揺れていたのを、今でも鮮明に覚えてる。
「すごく、カッコよかった……」
本心が、ポロリと口から零れる。
目がこぼれ落ちそうになるくらいに、見開かれた、一護の瞳。