私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。
「椿?」
「あ、ごめん。紗枝とは、小学3年の時に同じクラスで…」
私は、消しゴム泥棒の疑いをかけられたとき、紗枝に助けられた話をする。
「紗枝らしいな……」
「う、うん………」
一護、紗枝の事を私から聞き出したいのかな。
それにしても、なんて優しい声で紗枝を呼ぶんだろう。
こんな風に、一護に想われる紗枝が羨ましい。
「お前も、優しい顔すんのな、椿」
「え、私……?あんまり、言われたことないけど」
まさか、話の矛先が自分に向くとは思わず、目をまん丸にして一護を見つめる。
「お前、今、すげぇいい笑顔だった」
「あ、ありがとう……」
そんな、ストレートすぎるよ、一護のバカ。
その言葉に勘違いする女の子だっているかもしれないんだよ?
ズズッと、底尽きかけたメロンソーダを飲み干す。
ヤキモキして、食べ方が下品じゃないか…とか、そんなことを気にしていたら、昼ごはんの味なんて全く感じられなかった。