私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。


***


昼ごはんを終えた私達は、今度はCDショップへと来ていた。

もちろん、スピグラの歌う、映画の主題歌のCDを買うため。

2人で棚を物色していると、スピグラのアーティスト欄を見つける。

しかも、視聴コーナーまで設置されてる!!

「あ……見つけた!」


まるで、お宝を見つけたかのような高揚感。

私は、別の棚を探してる一護のことをすっかり忘れて、視聴コーナーのヘッドフォンを耳につけた。


ー♪〜♪〜♪

もう、イントロから胸をワクワクさせる。

スピグラ本当に最高!!


「♪〜」

目を閉じて、口ずさみながら、聞きいっていると突然カポッとヘッドフォンが外される。


「あぁっ、ちょっと誰……」

「俺だっつの」


本気で怒りかけて振り向くと、そこには呆れた顔の一護。

わ!!

そうだ、一護がいるんだった!!
すっかり忘れてたよ……。


「あ、や……えーと……」


全身冷や汗が止まらなくなる。
ハラハラしていると、「ブッ」と一護が吹き出した。


「くっくっくっ……」


そして、ヘッドフォンを持ったまま、手の甲で口を抑えて肩を震わせ始めた。


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