私の唇は、大好きなキミへ嘘をつく。



「この人、紗枝が好きなアーティストなんだ」

「へぇ〜、yumiか、紗枝っぽいな」


一護も、紗枝の方が女の子っぽいって思ってるよね。

スピグラとか、男子が聞きそうな曲が好きな私は、女の子っていうより、趣味の合う友達だ……。


ーズキンッ

……痛い。
今日は、胸が痛くなったり、弾んだりと忙しい。


「そう……だよね……」


モヤモヤしたり、痛んだりする胸の違和感に戸惑いながらも、私はなんとか返事を返した。


そして、2人でスピグラのCDを買ってお店を出ると、またお店を物色する。


「あ、あれ……」


私は、アクセサリー屋さんで目に入った、シンプルなピアスに目を惹かれた。

ペリドット、私の誕生日石がはめられたピアス。


「あ、このピアス……」


手に取ろうとして、一護も、同じピアスに手を伸ばしていたことに気づいた。


「「あっ…」」


そして、少し触れ合った手に、ドキンッと大きく心臓が跳ねる。

わっ、一護の手に触っちゃった。

顔が、尋常じゃないほど熱くなる。

こんな事で、いちいち反応するなんて、友達ならありえない。ダメだよ、ちゃんと友達を演じないと……。


「ご、こめん」

「いや、俺こそ……つか、椿って確か8月生まれだよな?」


私たちはパッと手を離す。

すると、一護が私に誕生日がいつかを聞いてきた。


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