ずっと一緒に・・・
雨、記憶
「はぁ……」
六月十八日月曜日。天気、雨。先週の梅雨入りから毎日この雨は降り続いている。空もこんなにたくさんの雨を今までどこに隠しておいたのかと思うほどの土砂降りの雨を窓越しに見ながら、浅野友美(あさの ともみ)は深いため息をついた。
「どうした?ため息なんかついて」
前の席の青木健一(あおき けんいち)が、前から回ってきたプリントを友美に渡しながら聞く。
「別に……」
プリントを無愛想に受け取って後ろの生徒に渡しながら、友美は素っ気なく答えた。
「いや、今のため息は絶対に何かあるな。あ!もしかして恋の悩みか!?」
「うっさいなぁ、プリント回し終わったんならとっとと前向け、バカ」
しつこく話しかけてくる健一の顔をグイッと前に向かせる友美。しかし健一は友美の手を払いのけながらまた顔を後ろに戻す。そして先ほどまでのいたずらっぽい顔から妙に真剣な顔になって、周りの生徒に聞こえないように小声で言った。
「もしかして、あのこと思い出してたのか……?」
確信をつかれて、友美は思わず健一から顔を背ける。どうしていつもこいつはこんなに勘が鋭いのだろうと思いながら、友美は十一年前のあの出来事を思い出していた。
六月十八日月曜日。天気、雨。先週の梅雨入りから毎日この雨は降り続いている。空もこんなにたくさんの雨を今までどこに隠しておいたのかと思うほどの土砂降りの雨を窓越しに見ながら、浅野友美(あさの ともみ)は深いため息をついた。
「どうした?ため息なんかついて」
前の席の青木健一(あおき けんいち)が、前から回ってきたプリントを友美に渡しながら聞く。
「別に……」
プリントを無愛想に受け取って後ろの生徒に渡しながら、友美は素っ気なく答えた。
「いや、今のため息は絶対に何かあるな。あ!もしかして恋の悩みか!?」
「うっさいなぁ、プリント回し終わったんならとっとと前向け、バカ」
しつこく話しかけてくる健一の顔をグイッと前に向かせる友美。しかし健一は友美の手を払いのけながらまた顔を後ろに戻す。そして先ほどまでのいたずらっぽい顔から妙に真剣な顔になって、周りの生徒に聞こえないように小声で言った。
「もしかして、あのこと思い出してたのか……?」
確信をつかれて、友美は思わず健一から顔を背ける。どうしていつもこいつはこんなに勘が鋭いのだろうと思いながら、友美は十一年前のあの出来事を思い出していた。