ずっと一緒に・・・

―きっかけ―

「さぁみんな。今日は七夕よ。この短冊に自分のお願い事を書いてね」
「はぁい!」
先生に配られた細長い色とりどりの短冊に保育園の子供たちはそれぞれ思い思いの願い事を書き始める。その中に浅野友美、青木健一、そして秋山純(あきやま じゅん)もいた。
「友美ちゃんはなんてかくの?」
「えっとねー……早く大きくなりますようにってかく!」
「じゃあぼくもおんなじのにするぅ」
「もう!健ちゃんまねしないでよ!」
たわいもない二人の会話を横で聞きながら、純は一人ジッと短冊を見つめていた。
「純、どうしたの?ぐあいわるい?」
そんな純に気づいて、健一は純に声をかける。しかし純は首を横に振るだけで何も話そうとしない。そんな純を心配して、友美も声をかける。
「純ちゃん、おなかとかいたいんなら、ちゃんと先生に言わなくちゃダメだよ」
「……ちがう……」
友美の言葉に純は小さく呟く。しかしそれ以上何も言おうとはしない。
「なにがちがうの?」
健一は純に聞き返す。純はしばらく迷っていたようだが、何か決意したように二人に顔を近づけるようにと手招きをする。二人は興味津々で純の話を聞こうと耳を近づけた。
「あのね、ぼく、しってるんだ……」
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