ずっと一緒に・・・
「健一こそ、ちゃんと覚えてたの?」
あえて意地悪そうに健一の顔を見ながら友美は聞いた。すると健一は「当たり前だろ」っと言いながら、さっき友美に見せた短冊をもう一度見せた。そこには……。

『みんなの願い事が叶いますように 秋山純・浅野友美・青木健一』

「な?忘れてなかっただろ?」
健一は満面の笑みを浮かべて自慢げに言った。そんな健一を見て友美も笑みを浮かべて言う。
「ほんと。ちゃんと覚えてたんだ。字体まであの頃のままなんじゃない?」
「字が下手なのは仕方ないんだよ、ほっとけ」
「はいはい。じゃあ、かざろっか、一番上にさ」
そう言って友美は竹の天辺を指さした。そこには何十枚もの短冊がすでにつるされていた。皆が真紀と同じように一番上につるそうとしたのであろう。短冊の重みで竹がかなりしなっている。
「でもこのままだとこの竹折れるかもな……あ!そうだ、いいこと思いついた!」
健一はまるで十一年前のように大声でそう言うと、急にどこかへ歩きだした。
「な、なによまた、いきなり……」
「いいからちょっと付いてこいって」
友美の文句も聞かず、どんどん進んでいく健一。仕方なく友美はその後を追った。
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