リストカット依存症


わたしは、あまり人を好きになることがない。



なっても、中途半端な感情で、いつも気が付けば興味がなくなっていた。



そして、好きになるタイプもバラバラ。


だから、本当に好きだ、と感じれることなんて、全くと言っていいほどなかった。




でも、恭介さんは違った。




眠そうな喋り方とか


よく通る声とか



唇の片端だけ上げる笑い方も


大きめな目も




全部、全部が


ストライクゾーンだった。




でも…


わたしが、彼を好きだと自覚するのは

もう少しあとになってからだった。



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