リストカット依存症
カッターを手首に当てがい、軽く引く。
その行為を何度も繰り返した。
わたしの手首には、無数の切り傷ができた。
血が出て、傷が痛む。
それが、自分が生きている証拠だった。
ある日、またイライラして、リストカットをしているとき
突然、部屋に弟が入ってきた。
「けいちゃん、何やってんの?」
弟…日馬(ヒウマ)は、明らかに怪しげな行動をしているわたしを睨みつけた。
「……」
「なぁ!何やっとるん!?
何でカッターなんて持っとん!?」
日馬は、何も言わないわたしの手からカッターを取り上げた。
「…自殺したかったん…?」
「違う」
「じゃあ、何で?」
「…苛々したから。
でも、もうせんから。安心して」
わたしは日馬を見ずに言った。
「もう絶対すんなよ。約束な」
日馬はそう言って、部屋を出ていった。
けれどわたしは
この約束を
守れそうにありませんでした。